バリアフリーについて考える
投稿日時:2015-09-10 16:07:52
障害者や高齢者など、体の不自由を抱える人が社会生活において支障になる要素を取り除くための施策を「バリアフリー」といいます。
バリアフリーは急速に進められており、公共施設にエレベーターが設置されたり、点字ブロックが通路に敷かれたりしています。車椅子の人や視覚障害者が移動で苦労しないための施策です。
しかし社会全体をバリアフリーにするのは、とても大変な事業です。たとえば自分が足で立てなくなり、車椅子で生活することになったところを想像してみてください。どこかに出かける必要はありません、自分の家での生活を想像するだけで十分です。
まず門から玄関まで、車椅子で用意に移動できるようになっていますか? 庭が砂利と敷石だったり、玄関の前にわずかな階段があったりしたら、もう車椅子では移動できません。
仮に玄関先まですんなり移動できたとしても、玄関と廊下の間に段差のない家はほぼ皆無でしょう。このような場所にはスロープを設置していかなければなりません。また、外から家の中に入るときに、車輪の汚れをどうするかは重要です。外と中で乗り換えますか? 大変ですよ?
トイレは、おそらく従来のままでは使えません。介護手すりを取り付ける必要が出てきます。家庭用のトイレは個室が狭い場合がほとんどですので、かなり考えて取り付けなければならないでしょう。
入浴は、もっと大変です。症状が軽ければ、手すりさえあれば自分で入浴できるかもしれませんが、重症であれば介護が必要です。家族の手を借りるか、デイサービスを利用することになりますが、家族に頼る場合はよほど忍耐を強いることになります。
このように、車椅子生活は家の中ですら不便極まりない生活を送ることになります。社会全体のバリアフリーを達成するために、現状の努力はまだまだスタートラインに立ったばかりのレベルでしかないのです。